鳴り響くサイレン、ドイツ版 「防災の日」

9月11日(金)】

氾濫したネッカー川、川沿いの道路が冠水している、ハイデルベルク、2018.01.06. © Matsuda Masahiro
氾濫したネッカー川、川沿いの道路が冠水している、ハイデルベルク、2018.01.06. © Matsuda Masahiro

9月10日(木)、午前11時。

ドイツ全土で約1分間にわたり防災サイレンが鳴り響きました(ビデオ)。「ウーーー」というお馴染みの無機質なサイレンで、通常の生活では決して聞くことのない音です。

これはドイツ連邦防災庁(正式名称「ドイツ連邦 市民保護・災害救助庁=Bundesamt für Bevölkerungsschutz und Katastrophenhilfe」)が実施した防災連絡テストの一環で、以前から告知されていました。分かっていても、いざ聞くと緊張する音です。

サイレンの他、メディアやスマホの災害警告アプリなどを通じた連絡テストも同時に行われました。全国に設置された防災サイレンが一斉に鳴らされることは、東西ドイツ再統一後、30年以上無ありませんでした。

目立つのは水害

ドイツの自然災害で、被害が最も目立つのは川の氾濫や海岸部の高潮被害などの水害でしょう。

<参考記事>【コラム】 世紀の大洪水 -ドナウ川、エルベ川-

歴史的な水害としては、1962年2月に港湾都市ハンブルクを襲った嵐による水害が有名です。この時は、エルベ川周縁の低地が水に浸かり、315名が命を落としました。

ドイツに台風やハリケーンは来ませんが、竜巻を伴ような激しい嵐が交通機関を麻痺させたり、建造物に被害を与えることもあります。

日本と違い、有感地震はほとんど無く、活動中の火山もありませんので、その点は安心です。

あとは、極端な寒波や熱波、あるいは水不足も自然災害として扱われます。

渇水も自然災害

この夏は例年に比べて雨が少なく、全国的に水不足が深刻です。

ドイツの場合、水道水は地下水を主水源としているため、雨不足の影響はあまり受けません(地下深くから取水しているため十分な水量を確保できる)。

ただし、降水に頼っている農業には大きな影響が出ますし、川の水位が下がって河川用のタンカーや観光船が航行できなくなる、といった被害が起きることもあります。

スマートフォン用に、KATWARN(Kat…⇒災害、Warn⇒警報)という災害警報アプリがあり、私もスマホにインストールしています。

先ほど、このアプリで私が住むドイツ南西部の地図を広げたところ、何ヵ所か色のついた地域が見つかりました。例えばSimmarnという街に渇水警報が出ていました(写真)。

災害警報アプリ「KATWARN」の画面
災害警報アプリ「KATWARN」の画面

他に色のついた地域を探すと、大きな「火災」や「交通事故」の他、「コロナ感染危険地域」の表示もありました。ちなみに、コロナ危険地域の基準は「人口10万人あたり新規感染者数が50を超える」です。

他には、テロや化学工場の事故、原発事故、その他の大規模災害なども、このKATWARNに表示されます。

毎年、9月の第2木曜日

1980年代までドイツは東西冷戦の最前線に位置し、差し迫った危機感から定期的に同様のテストが行われていました。その後テストが行われなかったということは、ドイツがそれだけ平和になった証でもあるわけです。

しかし、社会情勢が変わり「それではまずい」ということで、テストが復活しました。

そうはいっても、日本の学校や職場で9月1日の防災の日に行われるような、実地の防災訓練があるわけではありません。あくまで、警報や連絡システムが作動するかをテストし、国民の意識をほんの少しだけ刺激する程度のものです。

もっとも、今回はサイレンが鳴らなかったり、アプリへの連絡が30分も遅れた地域があるなど、問題や技術的な不備も明らかになりました。まあ、だからこそのテストでしょう。

この防災連絡テストは、今後とも毎年9月の第2木曜に実施される予定です。

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