【4月11日(土)の出来事】
多くのEU国境では、入国審査が行われていません。車も歩行者も列車も素通りで、あたかも県境のような感じです。
正確に書くとEUすべての国境ではなく「人と物の移動に関する『シェンゲン条約』に加盟している国同士」で行き来する場合の話です。ドイツ・フランスの国境がその例です。
時々大きな事件(例えばテロなど)が起きると、犯人の逃走を防ぐため国境で検問が行われることはありますが、今回のような事態は私が記憶する限り条約締結後初めてです。
歩行者用の橋は閉鎖
私が住むバーデン=ヴュルテンベルク州は、ライン川がフランスとの国境になっていて、鉄道や自動車用の他、歩行者用の橋もあります。ライン川は大河ですので橋の長さは200m以上ありますが、地元住民の利便性と交流を考えて架けられたものです。
ケール(ドイツ)とシュトラスブール(フランス)を結ぶ歩行者用の橋(写真上)もその一つです。今は利用できないようにゲートで閉鎖されています。
ケールは比較的小さな街で、フランスとの行き来が盛んな地域です。それだけに国境閉鎖の影響は大きく、街はひっそりしていました。
写真(下)は徒歩でフランス側から来た男女が、警察の検問を受けているところです。見たところ散歩のようですが、ドイツへの入国は認められず、また歩いて橋を渡りフランスに戻って行きました。
在ミュンヘン日本国総領事館のメールマガジン第584号(4/1)より
条件付きで国境を超えることはできます。ただし、それを証明する書類が必要です。ちょうど、在ミュンヘン総領事館のメールマガジンに国境管理の最新情報がありました。
これによると、通勤目的の越境も不可ということになります。居住地がフランスで職場がドイツの人、あるいはその逆の人はいったいどうしているのでしょう…。
【バーデン=ヴュルテンベルク州】
1 ドイツ国外から陸路,海路又は空路によりバーデン=ヴュルテンベルク州に入域した者は,ドイツ入国後,遅滞なく,直接の経路により自宅又は適切な宿泊場所に向かい,14日間の隔離措置をとらなくてはならない。この規定は,最初にドイツ国内の他の連邦州に入国した者にも適用される。該当者は,隔離期間中に同居人以外の者による訪問を受けてはならない。
2 該当者は,遅滞なく所管当局(Zustaendige Behoerde)に報告しなければならない。また,病気の症状がみられた際にも,所管当局に遅滞なく報告しなければならない。
3 該当者は隔離期間中,所管当局による監察下に置かれる。
5 以下の(1)~(6)に該当する者は,ロベルトコッホ研究所の基準による新型コロナウイルスの症状がない限り,隔離措置の対象外とする。
(1)車輌,鉄道,船舶及び航空機により,旅客や荷貨物等の国境を越える輸送に従事する者
(2)以下の機能の維持に必要不可欠な者。ただし,必要不可欠性は,雇用者により検査され,証明されなくてはならない。
(ア)医療制度
(イ)公共の安全及び秩序
(ウ)外交及び領事関係
(エ)法制度
(オ)連邦や州や地方自治体の議会,政府及び行政
(カ)欧州連合機関及び国際機関
(3)従業員として活動する範囲において,航空機,船舶,鉄道又はバス等輸送関連企業の職員や乗務員としてドイツ国外に滞在していた者
(4)毎日若しくは最大5日間まで,職業上又は医療上の理由により,ドイツへの入国が必要不可欠であり,延期できない者
(5)外国での滞在時間が48時間に満たなかった者,又はその他正当な理由を有する者。ここには,共同での子に対する保護権,同居していないパートナーの訪問,緊急の医療行為,又は保護の必要がある者の援助や介護等の社会的な要素が含まれる。6 上記の規定に違反した場合には,反則金が課される可能性がある。
国外からの入国・帰国者の14日間隔離措置に関するバーデン=ヴュルテンベルク州政令
(2020年4月11日施行,6月15日失効)
ドイツの感染者数(前日比)/ 死亡者数(前日比)
- 【ロベルト・コッホ研究所発表】の公式データ (2020年4月11日(土)00:00現在)
◆ バーデン=ヴュルテンベルク州
:23,617 (+1,184)/ 622(+52)
◆ バイエルン州
:31,453 (+1,536)/ 747(+44)
◆ ノルトライン=ヴェストファーレン州
:23,644 (+616)/ 472(+26)
◆ ドイツ全国
:117,658 (+4,133)/ 2,544(+171)
- 死亡率(感染者数に占める死亡者数の割合)は2.2%。
- 人口100万人に占める死者数は 30.3人。
世界の感染者数 / 回復者数 / 死亡者数
- 【 Berliner Morgenpost紙の速報値】 (2020年4月12日(日)00:00現在)
◆ ドイツ全国
:124,288 / 58,190 / 2,736

- データ元:Johns Hopkins University CSSE, WHO, CDC (USA), ECDC (Europa), NHC, DXY (China), Robert-Koch-Institut, Kreis- und Landesgesundheitsämter
【注意】
- ① ロベルト・コッホ研究所は公的機関で、発表されるデータが国の公式データとして扱われます。
- ② Berliner Morgenpost 紙は、世界のデータを集め「コロナウイルスモニター」として独自の速報値を公表しています。