加盟28カ国、人口5.5億まで拡大した欧州連合(EU)は、ユーロ危機やEU懐疑論に揺れながらも、着実に統合の度合いを深めている。一体性と多様性のバランスをとりながら自由を尊重する欧州建設の歩みは今後も止まらないはずだ。
統合の進み具合いは、労働の自由化からも読み取ることができる。2007年に加盟を果たしたルーマニアとブルガリアの国民は、当初EU域内で働く際に労働許可を要したが、まず2012年に大学卒業者と職業訓練修了者への制限がなくなり、今年に入っていよいよ完全自由となった。
どこへ行ってもその国の労働者と同じに扱われ、職探しは個々人の能力次第となる。名実共に”EU市民”の仲間入りだ。
そうなると、次は社会保障の枠組みが問題になる。…
◆ 松田雅央「ヨーロッパの街角から」『日経研月報』、Vol.428、2014.02.