半年ぶりに3国国境の都市スイス・バーゼル(ドイツとフランスに接する)を訪れ、驚いたことが二つある。
一つは物価。スイスの物価は元々高いが、国立銀行が1月半ばに無制限の為替介入政策を終了したためスイスフランは急騰し、内外価格差が一段と広がった。外国人旅行者にとっては衝撃的な物価であり、ドイツなら1杯260円で飲めるコーヒーがスイスでは560円に跳ね上がる(同系列のコーヒー店で比較)。
二つ目はバーゼルのトラム(路面電車)が延伸され隣接するドイツの街ヴァイルまで走るようになったこと(写真)。公共交通の発達したヨーロッパでは列車や路線バスがごく普通に国境をまたぐが、トラムというのは非常に珍しい。都市が離れていれば列車が適しているし、人の行き来が少なければ路線バスで十分だから、国境を越えるトラムの出番はなかなかないようだ。ちなみにトラム内でのパスポートチェックはほとんど行われていない。…
◆ 松田雅央「ヨーロッパの街角から」『日経研月報』、Vol.442、2015.04.