5月下旬、5年に一度のEU(欧州連合)議会選挙(定数751)が行われた。
中道右派「欧州人民党」(221議席)と中道左派「社会民主進歩同盟」(190議席)が第一・第二会派の座を守ったものの、極右政党を中心とするEU懐疑派(140議席)が財政・金融危機や東方拡大に伴う社会不安を背景に大躍進を遂げた。とりわけEUの中核を担うフランスと英国で極右政党が一位となったことに欧州は強い衝撃を受けている。
フランスは反EUと移民排斥を唱える国民戦線が3分の1の議席を獲得し、他を圧倒して第一党に躍り出た。同党は3月の統一地方選挙でも票を伸ばしており、地方レベルでも国家レベルでも確固とした政治勢力になりつつある。…
◆ 松田雅央「ヨーロッパの街角から」『日経研月報』、Vol.433、2014.07.