
この冬、25年ぶりにモスクワを訪れた。
といっても、前回は飛行機移動のトランジットだったため、本当の意味でのロシア入国は今回が初めてとなる。ソ連崩壊から間もなかった当時、空港ターミナルは照明が暗く寒々としていたが、現在は設備・店舗とも、ヨーロッパ各国の主要空港と顕著な違いはない。
ただ、あまりにも頻繁なセキュリティーチェックには閉口した。
空港ターミナルの入り口には金属探知機のゲートとX線装置が設けられ、構内に入る人はすべて検査を受けなければならない。間違って外へ出てしまったら、中に戻るだけで手間と時間がかかる(もちろん搭乗手続きの保安検査は別途行われる)。
こういった措置は空港だけかと思いきや、モスクワ市内の駅、公共施設やデパートまで、とにかく探知機、探知機、探知機…。

◆ 松田雅央「ヨーロッパの街角から」『日経研月報』、Vol.501、2020.03.