ブリュッセルから列車で西へ小一時間行くと、中世の姿を今に残す観光都市ブルージュに着く。14世紀にフランドル毛織物産業で黄金期を迎え、ヨーロッパ金融の中心、また芸術家の集まる国際都市として栄えた。
ブルージュの都市景観を特徴付けるのはゴシック様式の市庁舎に代表されるレンガ造りの街並みと縦横に走る運河である。個人的な好みの話かもしれないが、水辺の豊かな街は心を和ませてくれる。ブルージュの運河はアムステルダムほど大きくなく、ベネチアほど派手でもなく、生活者の身の丈に合っているように思えた。…
◆ 松田雅央「ヨーロッパの街角から」『日経研月報』、Vol.413、2012.11.