
5月からの長雨で、ドイツ・チェコ・オーストリアのドナウ川・エルベ川流域に甚大な被害が出ている。同地域は世紀の大洪水と呼ばれた2002年にも被害を受けており、わずか11年での水害再来に住民と自治体のショックは大きい。被害総額はドイツだけで100億ユーロを超える。
私がドナウ川沿いにあるドイツの観光都市パッサウを訪れたのは6月11日。つい1週間前には旧市街地の石畳を濁流が覆い、水位はついに過去最高の12.9mを記録したが、この日は一番低い警戒レベルまで下がっていた。
川沿いに建つ歴史的建造物の市役所も被害を受け、水に浸かった古い窓枠が修理のため運び出されるところだった(写真)。…
◆ 松田雅央「ヨーロッパの街角から」『日経研月報』、Vol.421、2013.07.