【14.July.2020 (Tues)】
本来、マスクは嫌われ者
ドイツ社会のマスク嫌いは筋金入りです。
もちろん、医療機関では以前から使われていますが、コロナ禍以前、医療機関以外でマスクを着ける人は皆無でした。
法律的なことを書くと、車を運転する人のマスク装着は禁止されています。交通違反取り締まりの際、撮影の障害になるという理由です。
ただし、コロナ禍の現在はマスクをしながら運転しても大丈夫(らしい)。また、テロ防止のため日常生活でのマスク装着を禁じている国もあります(現在は別)。
疫病を想起させる?
コロナ禍の今はどうでしょう?
商業施設、公共施設内でのマスク装着は義務なので、皆着けていますが、その他の場面でマスク姿を見ることは極めて稀です。地域や都市の大きさにより差が大きいのかもしれませんが、少なくとも私が住むカールスルーエ(人口31万の中核都市)に、マスク姿の歩行者はほとんどいません。
過去にペストの大流行を経験しており「疫病を想起させるマスク姿は忌み嫌われるから」という説もありますが、本当のところはどうなのでしょう。
やっと認知されたマスクの効果
そういえば、コロナ禍の始まった3月頃、ドイツの厚生大臣が「マスク着用は、逆に感染を拡大する」と発言していたのを思い出します。
マスクは万能ではありませんし、着用方法を間違えたり、不適切な取り扱いをする可能性もありますが、これはおかしな意見です。
今はドイツでも一定の効果があると認められ、厚生大臣も発言を180度転換。現在はマスク着用の有効性を力説しています。
面倒だから?
そんなドイツで、商業施設でのマスク着用義務解除が議論されています。背景にあるのは、マスク着用が商売の邪魔になるという考え方です。幾つかの州が解除を提案し、国は解除に消極的な立場です。
そもそも、なぜ商売の邪魔になるのでしょうか?
結局のところ「マスクを着けるのが面倒で、店に入るのを止める客がいる」ということです。反対理由としては何とも消極的で、乱暴な書き方を許してもらうなら、「そのくらいの面倒は我慢しろ!」と思います。
コロナ感染防止のため、すべての人や組織が努力し、社会・経済全体が大きな犠牲を払っています。疫学的にマスクがどれほど有効か、必ずしも明らかではありませんが、少しでも可能性があるなら積極的に活用すべきでしょう。
広く薄くの負担は我慢しよう!
マスクの購入に金はかかりますが、布マスクなら1枚数ユーロ程度。広く薄くの負担で感染防止に役立つのなら、着用解除の選択肢はあり得ないでしょう。
コロナ感染対策を理詰めで構築している印象の強いドイツですが、根っこのところには、決して理詰めでない感覚が見え隠れします。つまり「好き・嫌い」や「習慣の有無」が判断基準になっている部分があるわけです。
生活習慣を変えるのは、なかなかにして難しい話しです。